about-image.jpg

「人間は自然に内包される」

文明が曲がり角を迎えている今、豊かな自然に包まれてある越後妻有の生活=里山は、地球環境に対する視座を見つめ直し、環境破壊をもたらした近代的パラダイムを変革するきっかけとなりうるものです。

そこから「人間は自然に内包される」という基本理念が生まれ、この理念が、アートネックレス整備構想のすべてのプログラムに貫かれています。人間と自然がどう関わっていくかという可能性を示すモデル地域となることを目指して、越後妻有の地域づくりは進められています。



about-image.jpg

里山とアート

20 世紀は都市の時代であり、都市の美術でした。しかし、都市が病み、美術が暗く、孤立的になり、本来もっていた場所と人、人と人を明るくつなぐ力を失って いったのに対し、越後妻有では、アーティストたちは、里山の生活と自然のなかで、美術が失いかけていた連帯、協働といった喜びを見出しているようです。

大地の芸術祭では、山と川、棚田と美しい集落の点在する広大な地域に、毎回、多くの作品が展開されてきました。作品を1箇所に集中的に展示するのではな く、200の集落をベースに作品を散在させ、現代の合理化、効率化の対極として、徹底的な非効率化を試みています。

里山の美しさ豊かさを際立たせ、そこに積層した人間の時間を浮きあがらせる作品をめぐりながら、訪れた人々は、五感を開放し、生の素晴らしさを全身に蘇えらせるのです。



世代、地域、ジャンルを超えた協同

アートは人と人、人と土地をつなぐ力をもっています。越後妻有では、アートを媒介に、地域、ジャンル、世代の違う人々のさまざまな人々の協働が生まれています。
ここでは、アーティストは「他者の土地」にものをつくらなければならず、コミュニケーションをとらざるをえません。やがてアーティストの学習と熱意は住民を動かし、住民たちは「観客」としてではなく、協働者として作品に関わり出しました。

大地の芸術祭には、数多くの都会の若者がボランティアとして参加してきました。彼らは「こへび隊」と自らを名付け、さまざまな活動に関わっています。「過疎 地の・農業をやってきた・お年寄り」に対して、「都市で・何をやっているかわからない・学生」との出会いは、衝突、困惑から理解、協働へと変化し、地域は、若者によって開かれていきました。

こうしたアーティストや都市のサポーターたちは、2004年の中越大地震、2年 続きの豪雪がこの地域を襲うと、「大地のお手伝い」と称して復興支援活動や雪堀ボランティアとして活動しました。こうした協働の過程でわかってきたのは、 妻有は都市に住むサポーターたちにとって、かけがえのない「希望をつくりだす場所」となっているということでした。現在、若者だけでなく大人達がそれぞれ のスキルを活かしながら「新しい故郷」づくりに参画しはじめています。

about-image.jpg


世界とのつながり

世界でも類をみない規模と質をもった大地の芸術祭は、「新しい芸術祭のモデル」として、これまで海外の多くのメディアでも紹介され、国を越えて高い評価を得 ています。アートによる独特な地域づくりの手法は、「妻有方式」として海外でも大きな関心を呼び、欧米、アジアのキュレーターや美術関係者、自治体の視 察、国際会議、シンポジウムで取り上げられてきました。

また、大地の芸術祭には、個人のアーティストだけでなく、世界各国の文化芸術機関が参加し、ワークショップやアートプロジェクトを開催、国境を越えた協働 が展開されています。第3回大地の芸術祭では、香港大学の学生15人が2週間にわたって制作ボランティアとして参加し、オーストラリアのアジアリンクは、 アーティストとキュレーターを派遣し、長期にわたって越後妻有でレジデンシープログラムを展開、フランスのパレ・ド・トーキョーは、廃校を舞台に4組の アーティストによる展覧会を行いました。イギリスのグライズデール・アーツは、「7人の侍」ならぬ「7人のアーティスト」を送り、山深い星峠集落を活性化 すべく1カ月以上滞在してプロジェクトを行い、その成果をリバプール・ビエンナーレで発表しました。2007年春には、集落の農民がグライスデールに招待 され、農業指導や料理ワークショップを行い、現在もその交流は続いています。



新しい地域づくりモデルとして

越 後妻有におけるアートを媒介とした地域・世代・ジャンルを超えた人々の協働による新たな地域づくりのあり方は、「ふるさとイベント大賞(総務大臣表 彰)」、「東京クリエーション大賞」、「地域づくり総務大臣表彰」など美術の枠組みを越えた評価も受けてきました。文化芸術による創造都市(クリエイティ ブ・シティ)が関心を呼ぶ中、越後妻有での地域づくりは、徳島、茨城、新潟市、大阪、瀬戸内など全国のさまざまな地域づくりに影響を与えています。

about-image.jpg