降り積もる雪とアート・ワークショップ 「雪の図工教室 私の雪世界 -雪のボックスアート- 前山忠」

妻有日記越後妻有里山現代美術館[キナーレ]投稿日:2013年03月26日

越後妻有は、冬、輝く銀世界に包まれます。
美しい銀世界をつくる雪は、春の雪解けまで、4mも5mも、山のスキー場から里山や街中に堆く降り積ります。この地域に住む人々は、雪が降り積もった日の翌日、夜明け前から除雪を行います。雪に家を押し潰されないように何世代も何世代も、このような雪との戦いを繰り返し、共に生きてきました。

人々を楽しませ、苦しませる雪。
越後妻有を象徴するもの。

これを素材にして、人々がそれぞれの雪についての思いを託すことができる、アート・ワークショップができないだろうか。美術家の前山忠は、何メートルも降り積もった雪の壁に立方体や円筒形の穴をあけ、その空間を地域の草木・花、持ち寄った思い出の品によって彩る、雪のボックスアートを構想しました。

2013年3月2日(土)、雪が降り積もる中、「雪の運動会」の外壁として地元サポーターやこへび隊が作成した雪の壁を、日本大学芸術学部彫刻専攻の鞍掛ゼミの学生たちが整形し、越後妻有地域の道路の脇に見られるような壁を出現させました。
今回は、その雪の壁を使ってのワークショップです。

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前山さんのレクチャーの後、「越後妻有の林間学校・冬 Bコース」や「雪の運動会参加+宿泊セットツアー」で来られて参加された方々は、持ってきた思い出の品や、作家やスタッフが持ち寄った木の枝、花、十日町紬の切れ端、おもちゃなどを使い、作品を創っていきました。

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制作時間1時間強。
林間学校の子ども達は雪と戯れながら、自分ならどんなボックスを造り、雪への思いをどんな風にかたちにすればよいか、真剣に考えて作品を創りました。

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大人の参加者は、記憶や雪に対する情熱を、どのように視覚で捉えられる表現に落とし込めるか、試行錯誤して制作しました。前山さんご本人もひとつのボックスを制作されていました。

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できた作品は、作家を唸らせる力作ぞろい。
越後妻有の雪に対するそれぞれの思いに触れることができました。

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越後妻有里山現代美術館[キナーレ]
スタッフ 須田 禅

前山 忠 Tadashi Maeyama

1944年新潟県上越市生まれ。1967年新潟大学教育学部芸能科絵画科卒業。1967年に新潟現代美術家集団「GUN」を結成し、堀川紀夫と共に中心メンバーとして故郷新潟の地に前衛芸術の旗を立てた。政治権力や既存芸術に対してオルタナティブな芸術の在り方を示す作品や、鏡を使った作品で独自の視覚世界を生み出す作品を製作した。その後グループ展および個展に多数出展した。近年では、視ることと、視る私、視る自然の場所や風景に着目した“視界シリーズ”を展開している。
越後妻有では「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」において松之山湯山集落で空家プロジェクトを行った(2006年~2012年)。また「雪アートプロジェクト」にも積極的に参加している(2008年~2012年)。昨年から松之山湯山集落に「ギャラリー湯山」をオープンさせ、松之山地域の魅力に迫る作品を展開している。
最近では、長岡市にある新潟県立近代美術館で2012年11月から2013年1月に開催された回顧展、「GUN -新潟に前衛(アバンギャルド)があった頃-」展が催され、新潟の地で展開した前衛芸術が再評価されている。