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SNOWART TRAIL 豪雪地を体現する瞬間

妻有日記投稿日:2017年02月26日

今年は小雪よね、どこかさみしげに再会人はそう言っていた。
記憶の中の越後妻有の冬は、厳しくも愛おしく思えているのか。

「SNOWART TRAIL」
2017年2月25日(土)~3月12日(日)

わずか16日間しか会えることができない作品達は儚くも記憶に残る物語となる。 豪雪地帯と言われ続け、その地を愛し、居続けた住民に山路を案内されながら鑑賞者は後をつける。少し息を切らした時にあらわれ映る作品たちは、雪景色とともに五感に響き、生命の息吹を感じさせる。想像つくだろうか。

■マーリア・ヴィルッカラ「Hidden Village / かくれ里」

TRAILのはじめ、慣れないかんじきのせいで足元を注視しながら歩き、ふと見上げると家のシルエットが飛び込んでくる。棚田の形状に呼応し波打つ雪原に、見る角度によってあらわれるそれぞれの家の表情。雪山を回り込み、作品の近くまでたどり着くと、かくれ里を発見したような感覚になり、家々から伸びる梯子はまるで高く空へと登るよう金色に輝いていた。

■高橋匡太「森の灯々」

うっそうとした雪林から仄かな光がぽつぽつと木漏れて、何かの気配とも感じつつ林に足を踏み入れると、一面に広がったのはたくさんの灯火をまとった無数の窓。光は呼吸するかのように穏やかに点滅し、家々の暮らしを感じさせてくれる。

■林舜龍「春を待つ」

林舜龍率いる台湾の学生と地元まつだい案山子隊によって約2週間で造られた。寺に向かう細道にあらわれる無数のスゲボーシをかぶった精霊たち。山路を境界として姿は変化しており、あの世とこの世のハザマを歩くような感覚になる。雪の精霊たちは躰の中にスイセンの種をもち、雪解けを待っているようにも見える。

■前山忠「雪の視界2017」

田んぼであろう美しい雪の原に、正方形に作為的に打たれた白竹が複数本。作品を川沿いから眺めながら歩いていくと、1辺1辺の濃淡が徐々に変化していき、映る雪景色が逆に際立ってくるようにも見える。

■本間惠子「雪を聴く」

空から舞い降りた雪がまるで音符のように五線譜に付きメロディーを連想させる。五線譜に近づくと雪は冷えてキラキラとつららになったり、ぽとぽとと水となったり、音符の表情も豊かにそれぞれ声を出しているようだ。体験型の作品でもあり、降り積もった雪を自ら音符として追加しメロディーに乗せることもできる。

■堀川紀夫「Tensegrity-6 (Snow Flower) 」・「第6回やまぞりまつり」

実はTRAILの一番最初に登場していたのだが、雪アートプロジェクトを数年前から取り組んでいた作家である堀川さんのモニュメント。彩度の高い色棒は互いに触れ合っておらず、紐の張力とその統合によってバランスが取れている力学的な作品。3月4日(土)、5日(日)には作家と地域の協力者・賛同者で大ぞりをひっぱる「山ぞりまつり」の中心に色を添えるようだ。




SNOWART TRAIL、時間にして1時間。ARTとは無縁そうな風貌で先頭に立って案内をしてくれたこの土地の「地識人」。豪雪地ならではの経験、暮らし等、過酷な生活を、道中に自信に満ち溢れ話されていた。徐々にアーティストらの想いと彼らの話とがリンクしてきたような気分になり、コースの終わり頃には、彼らが苦労を足してきた雪上に私は少しだけ踏み込めたような気がした。

大地の芸術祭の里スタッフ 岡村



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