Vol.1「大地の芸術祭開幕」

北川フラム投稿日:2018年08月03日

大地の芸術祭、開幕。
暑い。雨が降らない、日照りの夏だ。稲は大変、ぜひ慈雨を!

この間の慌ただしいオープニングの数々です。
26日 夜スタッフ全員で打合せ。
27日 プレスツアー。夜は奴奈川キャンパスで「チャイナナイト」。
28日 ご招待者ツアー。午前は磯辺行久 越後妻有清津倉庫美術館[SoKo]の開館式、午後に「イダキ:ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」展のオープニング、夕方に小林武史『円奏の彼方(Beyond The Circle)~based on 柴田南雄「ゆく河の流れは絶えずして」~』、その後大地の芸術祭オープニングレセプションで林文科大臣、オーストラリア大使挨拶。
29日 ご招待ツアー。朝に清津トンネルのテープカットのあと、開会式で福武プロデューサー、フランス大使挨拶挨拶。夕方には香港ハウスのオープニング。
30日 越後妻有文化ホールで、「大地の恵み/土・圭・垚陶芸交流プログラム」のオープニング。梶山地方創生大臣視察、夜は南極ビエンナーレシンポジウム。
31日 中国・台湾のこどもたちのワークショップ「卵の殻で地球をつくろう」の指導。


大地の芸術祭2018 開会式


南極ビエンナーレ シンポジウム

始まるまでは、期待と29日の開会をつつがなく迎えたいという思いだけだが、あっという間に5日間が過ぎた。まさに光陰矢の如し。

 外国からのサポーター100人位が一か月近く、制作と手伝いで大健闘。オフィシャルツアーも6割が外国からのお客様。お客様の入りはまあまあか?暑さで日本人は出控えの感あり。


ウー・ケンアン「五百筆」(中国ハウスオープニングより)

 作品について。まずは外国。中国ハウスはウー・ケンアンの作品で空家一棟を中国、地元の人々、500人の一筆描きを切り抜いたもので埋め尽くしていて、圧巻でした。オーストラリアハウスは、ホセイン・ヴァラマネシュとアンジェラ・ヴァラマネシュによるもので、特に内部の展示は美しい。新築で誕生した香港ハウスは、オープニングの儀式に数百人の香港からの参加者があって素晴らしかった。政府の局長の挨拶は的確で、香港ハウスをつくろうとした意図が良くわかった。コミュニケーションの拡がりが美術によって可能だという確信に拠っている。公募によって選ばれたイップ・チュンハンの設計だが、地元の建築家、工務店の協力が良かった。思えば、香港ハウスは難航したなぁ。しかし、その困難を越えていくなかで、何かが生まれていくのだ。夕陽の照り返しのなかで司会をしていたモナと通訳の方のひたむきさが心に残った。


ホセイン・ヴァラマネシュ、アンジェラ・ヴァラマネシュ「ガーディアン」
香港ハウス オープニングより

 今回は、十日町北エリアについて。枯木又プロジェクトでは、内田晴之の「大地の記憶」では、木がよく育っていてビックリ。

内田晴之「大地の記憶」

※ここで一言※
越後妻有は圧倒的な植物の世界。そこでアーティストは木、花を植えようとする。しかしそううまくはいかない。もともと五穀を食べていた地域である。雑草は強い、そして今生えている木は数百年を生き延びた強い木なのだ。だから、花や木がうまく育っているのは珍しいし、驚くことなのだ。この風景に幻影をもってはいけない。多くのアーティストは越後妻有の系統発生を個人史のなかで学んでいく。
さて吉野央子の鳥小屋も元気で、ふたつとも気持ちが良かった。枯木又分校の新作も力作で、頑張ったと思う。


吉野央子「環の小屋・パラダイス going to paradise」

 山新田の竹腰耕平の根っこは圧倒的で、ここは昔、カルロス・ガライコアが灯りの家模型を林立させた家があったところで、その空家が無くなったところに残っていた枯木の周囲を掘り起こしたもので、今までの作品から一歩踏み出した感じ、必見ものだ。


 うぶすなの家の食事も相変わらず旨く、キッチンわたりがらすの村上さんの材料の吟味は凄いと思う。ぜひお立ち寄りください。

 その他、上新田には中国現代美術の大家、シュー・ビンが、伝雪舟筆の「富士三保清見寺図」をつくり直し、裏に回ってみると、紙や植物をうまく使ってその影で山水画の伝統を蘇らせていることがわかる。中国伝来の山水画がまた逆に中国人作家によって「応物象形」「転移模写」されている。一階にある韓国のカン・アイランの「田中文男文庫」にある「天の光、知の光―Ⅱ」の作品も久しぶりに見て爽やかだった。
下条のインフォメーションセンターにある旧みよしの湯の2階では、タイのアリン・ルンジャーンの2人のおじさんの映像、ここに至るまでに作家はタイにおける日本農業の影響を調べている。前回登場したナウィン・ラワンチャイクンの名作「赤倉の学堂」もそうだったが、タイの作家には農業とコミュニティに対する願望が強いと思う。

 中条の高龗神社にあるエマ・マリグの「アトラスの哀歌」は、作家の個人史と世界のかかわりが胸をうつ。エマ・マリグに会ったのは、30年前の京都。彼女はチリの軍事クーデターを脱出して日本に来ていたのだ。以来フランスで画家として活躍していたエマ・マリグが大地の芸術祭に登場したのだ。


エマ・マリグ「アトラスの哀歌」

 中条駅の目の作品「Repetitive objects」は新しい展開。目は進化、展開まっ最中である。


目「Repetitive objects」

作品のレベルは一段とあがっているように思う。


北川フラム  8月1日

Photo by Osamu Nakamura, Kasane Nogawa, Ayumi Yanagi