Vol.2「人間の土地」

北川フラム投稿日:2018年08月11日

 開幕から2週間、この間一日東京に戻った以外は妻有で作品巡り、ツアー、シンポジウム、打合せなど。まだ少ないながらも、雨が降った。体調も良い。津田大介さんも、朝礼に出たり、会議を傍聴したり、来年のあいちトリエンナーレのディレクターは鋭意勉強中です。


こへび隊の朝礼を見学する津田大介さん

 運営は、海外サポーターと市職員、地元の方々の健闘でなんとか回っています。国内こへびの皆さん、早く妻有に来てください。こへび隊はお客さんと地元をつなぎます。


「ザ おこめショー」のおべんとうセット(おにぎり2個と8種のおかず)1500円

 僕はキナーレにいることが多いので、「ザおこめショー」の美味しいお惣菜と各集落のおにぎりをいただくことが多いのですが、合間をぬってうぶすなの家、上郷クローブ座でもご馳走になりました。クローブ座のお母さん方による北越節譜の演出によるサービスは、枝豆の冷製スープと雪下人参のプリンとともに楽しかったし、妻有の老舗・うぶすなの家は相変わらず美味しい、ぜひご食味下さい。キッチンわたりがらすの村上秀貴シェフが選んだ食材がなにしろ良いのです。


上郷クローブ座レストラン「北越雪譜」


うぶすなの家の定食(川)

Hachi Café(絵本と木の実の美術館内)のカレーライスや、Café Fragment(清水のアート・フラグメント・コレクション内)のコーヒー・ジュースも格別でした。団体でなければ申し込めないTSUMARI KITCHEN(奴奈川キャンパス内)も雪解け時に仕込んだふきのとうのソースがかかった妻有ポークは絶品でした。これからお盆にかけて多くの人が来られるので、昼食の場所選びが大変になります。個人でいつでもいけるうぶすなの家はおすすめです。隣に古郡弘さんの名作「胞衣―みしゃぐち」があるし、近くの上新田のシュー・ビンさんの「裏側の物語」は現代山水画が興味深いし、中条高龗神社の「アトラスの哀歌」、前回作のアヌサパティの「SOUND TOWER 音の塔」も楽しい。117号線をはさんでタイのアリン・ルンジャーンの地元農民を撮った映画、中条駅の目の「Repetitive objects」と、下条・中条地区は充実していました。


古郡弘「胞衣―みしゃぐち」

シュー・ビン「裏側の物語」

アヌサパティ「SOUND TOWER 音の塔」

アリン・ルンジャーン「米」

 僕は先日、秋山郷の島袋道浩さんのプロジェクトを見に行きました。あの石垣田の絶景のなか、休耕田に白い花を植えるという夢のような構想ですが、この気候と土壌のため白い花が「君のためにすべてを表す」というまでにはいきませんでしたが、蕎麦とコスモスの白い花はとても良かった。ぜひ足を運んでください。ミツバチの巣に載せたケルンの如きひとつひとつの石クレ、かつて谷あいで村民が稲を運び上げるために使われていた索道(ロープウェイみたいなもの)を使ってキューリやトマトが運ばれてくるプロジェクト(土日12時~14時のみ開催)は、見倉橋の吊り橋とともにこの地域が理解できて楽しいのです。想えば私がこの越後妻有地域に魅せられたのも秋山郷の自然でした。




島袋道浩「石垣田の作品、蜂箱の作品、結東のもうひとつの作品」

 この秋山郷は、秋田からのマタギが拓いたという狩猟、縄文の時代の名残があり、1500年にわたる稲作の時代が信濃川の段丘と土砂崩れ跡を拓いた棚田や瀬替えとして強力に存在し、他の地域とつながろうと近代の道路やトンネル、水力発電などの土木工事の格闘のあとがそこここに見え、効率化とグローバル経済が直撃した現代の痛みがあるという、この列島の系統発生がマダラ模様のようにそれぞれの特色が垣間見える場所です。この人間と大地との関わり合いの諸相にアーティストが刺激を受け、感応し作品化してきました。このマダラ模様に咲く花を、広い地域を巡りながら見ていく旅が「大地の芸術祭」なのです。それはまた人間がこの極東の島国で生きていった足跡を辿る旅なのです。


小林武史:交響組曲『 円奏の彼方(Beyond The Circle) 』~based on 柴田南雄「ゆく河の流れは絶えずして」~

 さて、最後にイベントの話です。

 小林武史さんによる、柴田南雄さんの「ゆく河の流れは絶えずして」をベースにしたコンサート、南極シンポジウムやアジア・アートフォーラムなどの大型催事は終わりましたが、今日は秋山郷の石垣田圃で青葉市子のコンサートと、奴奈川キャンパスで珍しいキノコ舞踊団と神戸からやってくるあの三田村管打団?のハッピーバカキノコダンスがあります。そしていよいよ明日は、おおたか静流さんが参加する盆踊り「BACCA*GOHGIな鉢祭り」、瀬戸内サーカスファクトリー、ベビー・ピーが登場します。自然と人間の営み、食と祭りがいよいよたけなわです。会期後半の混雑が予想されるので、ぜひ早めにごゆっくり「人間の土地」を歩いてください。

北川フラム  8月10日

Photo by Gentaro Ishizuka, Osamu Nakamura, Ayumi Yanagi


CAFÉ FRAGMENT