Vol.3「モリアオガエルクラブ」

北川フラム投稿日:2018年08月13日

8月11日、朝9時15分からのモリアオガエルクラブの報告です。この日は一日、方丈記私記展にクラウドファンディングをしてくださったN氏と一緒でした。かなりの雨も降り、遅いとはいえ越後妻有地域に慈雨。エマ・マリグの作品を機に結成された地元女性パフォーマンスチームによる高靇神社での雨乞いのおかげかも。

 前回7月7日はほくほく線を挟んでかつての松之山古道があった熊越山のブナ林の散策で、この上杉謙信が軍用として整備した道は雪が早く融けるように南向きに作られています。因みにモリアオガエルクラブの師、松山金一さんの家はこの街道の先にある犬伏集落にあり、戊辰戦争で500人を超える官軍が来て、金一さんのお宅に16人も泊まったそうだ。しかし住民はここに敗走した幕軍の墓をつくっている。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【7月7日モリアオガエルクラブ/スタッフ記録より】
<金一さんのお話>
 今回のテーマは「ブナ林を散策しよう」。みんなで熊越山の頂上を目指しながら、山の中の動植物を見る。今日はあいにくの雨だが、雨が降ったときにしか見られない景色や生き物もいるので、雨が降ったなりの見所を楽しむ。ブナ林はスギ林と違って生き物が多い。ブナ林のある熊越山は古道松之山街道とつながっている。この道は上越市高田から南魚沼まである。上杉謙信が軍用道として整備した。できるだけ早く道の雪が解けるように南向きに作られた。


(左)ネムノキ:昔、薪として使ったため切り倒していたので大きい木は少ない。(右)ムシコブ:虫の卵。秋になると赤くなる。子どもの頃それが美味しそうに見え、虫と知らずによく食べていた。

(左)アリの通り道:外敵から身を守るためにトンネル状に木の上のほうまで繋がっている。樹幹流のくぼみ使って作る。(右)樹幹流:木の幹にある黒い筋。雨水が流れた跡。いつも同じところを通って根元まで流れていく。

(左)フジのつる:木に絡みつく。木が小さいうちに絡みついて、木とともに成長してきたため、とても大きくなった。 つるが木を締め付けて、殺してしまう。昔は絡み付いていたら、人の林の木でも切ってあげていた。 (右)木の幹の白斑:正体は微生物。ナメクジが削り取るようにして食べる。

(左)木の幹の線:木が生長していく過程でできたもの。人間でいうシワ。(右)ブナ:毎年実をつける。豊作の年とそうでない年がある。毎年豊作にしてしまうと、それをエサとするネズミやリスがどんどん繁殖し、ブナの実が食い尽くされてしまうために周期をずらす。豊作の年は5~7年周期でくる。あまり根を張らないため雪に弱い。ある程度大きくなると倒れるか、立ったまま枯れる。昔は土地の境界線の目印として、大きくて太いブナの木が使用された。

(左)サルノコシカケ:立ち枯れした木の幹から生えてくるきのこ。サルが腰掛けるのにちょうど良さそうなことからこの名がついた。(右)コシノカンアオイ:ギフチョウの食草である。5月頃飛んできてドラミング(足で葉をたたく)をし、コシノカンアオイの葉であることを確認する。葉の裏側に卵を産みつける。1ヶ所に7、8個産み付ける。生まれた子どもがこの葉を食べる。もう少し早い時期だと根元につりがね状の黒い花が咲いている。
(左)ギンリョウソウ:漢字で「銀竜草」別名「ユウレイタケ」森林の林床に生える。腐生植物。光合成をしない。菌と共生し、菌が作り出した栄養を得て生きている。 (右)モリアオガエル:日本の固有種。新潟県では準絶滅危惧に指定されている。シュレーゲルアオガエルやニホンアマガエルに良く似ているが、モリアオガエルはより大きい。

(左)ハルジオン:6月頃が花盛り。茎が中空のため、日中は水分が足りなくてつぼみが垂れさがる。ヒメジオンによく似ている。茎を折ってみて、中空のものはハルジオン。中が詰まっていたらヒメジオン。(右)ヘクソカズラ:至る所にあるツル状の植物。葉や茎から悪臭がすることからこの名前がつけられる。中国名では「鶏糞藤(ケイシトウ)」という。

<熊越山にある墓碑>
 今から150年位前の慶応4年(明治元年)、戊辰戦争で敗走し倒れた兵士がこの地に埋葬された。 犬伏には200人くらいの住民がいたが、ここに500人を超える人数の官軍の兵士が各家に分配されて泊まった。松山さん家にも多い時には16人泊まった。この間、子どもや女性は別の所に預けられた。大勢の兵士の腹を満たす分の食糧が無かったため、政府からお米を50俵借りたりもした。

<ブナ林散策の様子>

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

いつもの城山のコースですが、城山の上の松代城まで車であがりました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【8月11日モリアオガエルクラブ/スタッフ記録より】
<金一さんのお話>
 松代地域には現在、約500世帯が暮らしている。市町村合併される前は松代町だった。松代城から山々を見ると、杉が多いことがよくわかる。集落の向こう側にはブナの木が多い。 これらはほとんどが江戸時代以降に人の手によって植えられたものである。昔は木にフジなどのツル植物が絡み付いていたら、木が絞め殺されないよう他者の土地のものでもツルを切っていた。しかし高齢化が進み、林の中に入る人も少なくなり杉林やブナ林などの管理をするのが難しくなってきた。そこで美しき里山の林を守ろうと2006年、子供会の子達がブナの苗を約500本植樹した。小さい苗が雑草に負けないよう、草刈りなどをして地域全体で守ってきた。現在は手を加えなくとも生存できるくらい成長している。地域をあげての里山保全の効果か、最近はきつねやカモシカなどが多くみられるようになってきた。


(左)松代城:標高386メートルに建てられた山城。戦国時代、春日山城にいる上杉謙信への伝達を行う為、城からのろしがあげられた。昭和56年に展望台として整備され現在はこの姿だが、実際は丸太で簡単に作られたものだった。(右)カワクルミ:ぶら下がっているのは花。すでに花粉を飛ばした後であり、枯れている。幹がまっすぐなため家を建てる際に棟などに使用された。

(左)ツレサギソウ:ラン科の植物。絶滅危惧種である。この地域で見られるのはとても珍しい。(右)カヤ:イネ科の植物。ガラスの元であるケイ酸を含んでいる。日本の雑草のなかで一番しぶとい。雑草と呼ばれているが、農業では肥料として使用したり、生活のなかでは、家の屋根に使用したり固い茎を箸にしたりと本来雑草ではなかった。

(左)チガヤ:イネ科の植物。カヤによく似ている。昔は履物も良くなかったので、踏むと足が切れた。草をまとめてござにした。6月30日のなごしのはらいという(家族が健康でいられるように祈願する)儀式で使われる。 サトウキビの様に甘い。(右)ミョウガ:ショウガ科の植物。食べているのは花の部分。

サンショウ:かじるとピリッと辛い。とてもいい香りがする。

<城山散策の様子>

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

今回は、高野ランドスケープの高野文彰さんとそのグループの人たちも加わり、午後と翌日いっぱいをかけて森の整備をしました。台湾・香港からの人々も参加して頑張ってくれました。陽当たりがよくなり、森のなかは気持ちがよくなりました。次回は9月8日、「秋の草花・生き物観察」ですが、ワークショップも行う予定です。

 この日の午後は中国で地域づくりをしようとしている人たち20名に講義と質疑応答でした。皆熱心。その後ギャラリー湯山に行きました。夏に雪がテーマで、藤井芳則さんによる家のまわり全体を囲んだ空間が良かったし、屋内の作品も健闘していました。

 その後は十日町市内の分じろうで読書会。テキストは堀田善衛の「方丈記私記」で、報告は三輪良恵さん、十日町を日本・世界のなかでとらえていく第一歩です。

北川フラム  8月12日