方丈村便り5

越後妻有里山現代美術館[キナーレ]投稿日:2018年09月01日

織物の町、十日町
T374 「DRAPE HOUSE」ドミニク・ペロー

ペローさんはフランスの建築家で、1980年代に36歳という若さで自国の国立図書館の国際コンペティションを勝ち取り注目を集める存在となり、以来世界各地でさまざまなプロジェクトを進行させてきた方です。ベルリンにあるオリンピック自転車競技場やオリンピック水泳プールの他、日本の大阪・梅田にある大阪富国生命ビルも氏の設計です。
そして忘れてならないのが、「バラフライパビリオン」。この作品は十日町下条にあるあずまやで、能舞台の機能を持ち、2006年の大地の芸術祭前夜祭では観世流26世宗家・観世清和氏による舞が行われました。ご覧になった方もいらっしゃるのでは。

 

今回「方丈記私記」展でペローさんは、メッシュを主役に扱いました。フレキシブルだが構造があり、厳格であると同時に詩的でもあり、存在することも不在であることもできるこの素材は、人々を迎え入れ仲介する場所、パブリックとプライベート、玄関、敷居、内部をつなぐある深さを持った空間を作り出すことができ、建築というより風景に近い何かを喚起する、と彼は提案時に述べています。
日本の御簾も、ある意味そういう使われ方をしていますね。

さて、この方丈では織機と織物を展示しています。


ドミニク・ペロー「DRAPE HOUSE」photo Osamu Nakamura

唐突に何故?と思う方もいらっしゃるのでは。
実は十日町は、古くから絹織物で有名な町で、京都に次ぐ規模の高級絹織物産地なのです。
絹織物は雪と深く関係しています。雪が降ると冬の湿度が高くなります。高い湿度は絹糸を加工する時に、糸が傷つきにくく品質を高く保てるのです。また、昔は雪で農作業ができない冬の間に家で機織りなどをしていた女性が多かったことも、十日町で織物が盛んになった理由だそうです。

展示されている織物は、十日町市に本社を置く高級絹呉服メーカー「根茂織物株式会社」さんの絹織物です。昭和13年創業の大変歴史の深い企業さんです。ちなみに、女性の皆さんには馴染みの深い某大手下着メーカーのレースには、関連会社の「株式会社根茂レース」さんのレースが使用されているそうです。

それから、織機。こちらは十日町市在住の伝統工芸士の市村久子さんのご厚意でお借りしました。市村さんが現役で普段使用している織機です。
方丈展では市村さんの作品をお見せすることはできませんが、隣駅で9月1日(土)‐9日(日)まで、市村久子「Yume織展」(まつだいカールベンクスハウス/十日町市松代2074-1)が開催中ですので、是非そちらも足をお運びくださいね。

スタッフ 岡本濃

コラムをもっと読む