方丈読書会 活動報告(2)

越後妻有里山現代美術館[キナーレ]投稿日:2018年10月30日

方丈読書会 活動報告
第2回 2018年9月16日(日)18時~
場所:十日町市市民交流センター「分じろう」
課題図書:集落への旅 原広司著(岩波新書)
参加者:10名

「方丈読書会」、第2回目。芸術祭の最終日前夜です。
会場の数軒先「ガトータカダヤ」のコーヒーを配って、一息つく間もなく、さて、書評当番によるレポートの発表から始まりました。
その後、参加者の皆さんとは、自己紹介と本の感想をそれぞれ話してもらいながら、全員で本を共有していきます。
今回は、印象深いテキストを抜き出しての感想が多くあり、原広司さんの言葉がもつ「力」を感じながら、皆さんのコメントを聞いていました。 いくつかご紹介します。

私たちが現代の住宅地を、どう計画してもたりず、コミュニティという概念が空々しくきこえてしまう大きな原因は、住居から生産が剥奪されているからである。生産のために誘起されるべき自然の潜在力が、計画の平面にのぼってこないのだ。きっと風車広場の村人たちは、風を共存すること、水を分有することを語りあったにちがいなく、そこが共同体の出発点であったであろう。砂漠では、風が敵であり、味方でもある。私たちは、地理学を専攻したアッハマディアン氏から、風の講義をうけた。(P132抜粋)

人々は、必ずしも安定した自然環境に住むとは限らない。むしろ、なぜこんなところに住むのかと疑いたくなるような場所に、きわどい平衡状態をつくりだして住むものなのだ。ほんのわずかな可能性にすがりつき、それを最大限に実現して、活路をみいだす。他の不利な条件には耐えしのびつつ、それを逆に、共同体の結束の条件に転化してしまう結果として平衡状態がある。そして、そこに集落の形態が生まれるのだ。それゆえ、私たちは、その社会の人間的関係を知らずとも、物的に集落を語ることができるのだ。(P147抜粋)

三つの広場 これまで私は三つの広場の形式を述べてきた。キリスト教典型集落の広場、メディナの広場、クエバスの広場である。この三つの形式は、集団内に生じる矛盾の性格を限定し、それに対処する形式であると考えられる。キリスト教典型広場では中央権威とその表現としての儀式によって、メディナの広場では家族からの切断と自由な通商によって、クエバスの広場では集団の分節化と分節の家族化によって、それぞれ独自の秩序維持が図られている。(P50抜粋)

後半は、北川フラムさんから特別ミニレクチャーがありました。
原広司さんの集落調査、初期の住宅作品、代表的な作品の紹介から始まり、原さんとフラムさんの昔話。そして、芸術祭への話へと展開しました。 4つの柱(芸術祭、花の道、ステキ発見、ステージづくり)と芸術祭のあらまし(昭和と平成の大合併、集落へ配慮した計画)、中心市街地(文化的な重なりについて)、芸術祭準備のため原さんと越後妻有をまわったこと(集落調査の経験を越後妻有の集落へと置き換えて)、そして、古民家調査に大工棟梁の田中文男さんに加わって頂いたこと。(空き家プロジェクト)
プロフェッショナルからの助言を多く取り入れ、20年前に広く深く構想された大地の芸術祭でした。

当日は、読書会の直前に街歩きをする「方丈ツアー」があり、参加者の半分以上が実際に「十日町中心市街地」を歩いてからの参加でした。
さながら今回の課題図書「集落への旅」のように、「集落調査」の如く実際に「中心市街地」を歩き、この読書会で本の中の「世界の集落」に出会う不思議な体験でした。

報告者 三輪良恵

【第四回読書会のごあんない】
◯日時……11月29日(木) 19時より(開場15分前)
◯課題図書…『民俗学の旅』宮本常一著(講談社学術文庫)
〇会場……アスト/asto(十日町市袋町西91-1 十日町高等学校正門前近く)
※第四回のみ会場が変わりますのでご注意ください

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