『美術手帖』『Discover Japan』『OZmagazine』各編集長が語る「メディアから見た芸術祭」対談レポート

2018芸術祭イベントリポート投稿日:2017年12月19日

11月24日のトークテーマは「メディアからみた芸術祭」。
『美術手帖』編集長・岩淵貞哉さん、『Discover Japan』編集長・高橋俊宏さん、『OZmagazine』編集長・古川誠さん(12月に統括編集長に就任)をお迎えし、ジャンルが異なる3メディアの視点から芸術祭を語っていただきました。

対談は古川さんの小気味良い進行で始まり、まずは岩淵さんによる芸術祭の講義から。展示場所や地域性の強さなど国際展との違いを説明してくれました。また現代アートは都市カルチャーから生まれたもので、人や文化が集まる場所で最先端の表現を発表し、都市の人が観にくるのが基本。現代アーティストが創るにも関わらず、地方のお年寄りが見にくる芸術祭は、ある意味真逆と話します。日本の各地方をみてきた高橋さんは「アートは地域の魅力を引きだす装置」と表現。アートの存在が風景を変え、その風景を見に行かせ、風景に気づかせると、芸術祭の特色を語ります。


ここで岩淵さんから気になる質問が。「ディスカバー・ジャパンで芸術祭特集は売れますか?」答えは、イエス。逆に美術手帖では、他の雑誌も特集を組むようになりキャラ立ちできないと。近年、芸術祭が裾野を広げ一般化し、世界的にも国際展や芸術祭がエンタメ化したそう。古川さんも「オズの読者は日常的に美術館へ行く人は多くなく、イベントの一つとして芸術祭を消化してしまったというか。芸術祭がたくさんあるね、という状態を僕ら(メディア)がつくってしまった気がする。」と話します。オズマガジンが2009年に打ちだした“アートする旅”という見せ方は、他メディアにも大きく影響しました。


話題は面白かった芸術祭や作品へ。好評だったのは「Reborn Art Festival」や「瀬戸内国際芸術祭」。また内容がよくても初回は地元側の反応が薄いという意見も。大地の芸術祭では、高橋さんはイリヤ&エミリア・カバコフの『棚田』や草間彌生『花咲ける妻有』を象徴的として挙げ、岩淵さんは『最後の教室』。古川さんは『最後の教室』と『赤倉の学堂』を挙げ、好きな作品から作家の作風、その背景にある国の文化や人生体験へと興味が広がると話します。一方で、岩淵さんは、芸術祭では古民家や廃校利用が多く、読みとる場所の記憶や歴史、個人の思想は全て違うが、作品の見え方は似てしまう傾向があると指摘。古川さんも「精神性を突き詰めていくと最後には死があって、死に相対していくと似てきてしまうのでは」と捉えます。


最後に、各編集長からアートの楽しみ方を教えていただきました。 「アートを通して越後妻有の背景や景色、アートの奥にあるストーリーを感じてほしい」と高橋さん。岩淵さんは「アートはあくまでもきっかけ。その後に、まつだい棚田バンクなど、芸術祭がなくなってもずっと付き合っていけるような関係をつくるといいです。そんな人や場所との出逢いは芸術祭でないとなかなかない。」と話します。古川さんも「越後妻有はその関係性を作る色々な仕掛けをしていて、行って楽しんで終わりではなく、3年後も面白いし、会期外の活動が活発で行くきっかけがつくりやすい。ぜひ皆さんにも訪れてほしい。」と。彼らの言葉は、まさにアートという“装置”を通して私たちがお客様に伝えたいこと。それを各分野の目線から分かり易く代弁してくださった御三方の言葉に、メディアの力を強く感じた回でした。

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大地の芸術祭の里スタッフ

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