小林武史×北川フラム 対談レポートを公開

2018芸術祭投稿日:2018年6月8日

「開幕直前展」連続トークの皮切りとなったのは、大地の芸術祭2018のオープニング・コンサートをプロデュースする小林武史さんと北川フラムの対談。最も大きなイベントのひとつとなる「交響組曲『円奏の彼方』 (Beyond The Circle)〜based on 柴田南雄「ゆく河の流れは絶えずして」〜」をめぐり、多様な角度から語り合われました。

今回のコンサートは、大地の芸術祭特別展「2018年の<方丈記私記>~建築家とアーティストによる四畳半の宇宙」に連動して行われるもの。天変地異や戦争が続いた激動の中世に現代をなぞらえ、その時代に「方丈記」を書いた鴨長明の世界観にならい、ミニマムな空間に世界を凝縮し、そこから世界を見ようという展覧会です。長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という言葉はあまりにも有名です。

その言葉をタイトルに昭和50(1975)年の節目の年に交響曲をつくったのが、戦後日本を代表する作曲家・柴田南雄さんでした。北川は、2016年に行われた柴田さんの生誕100年・没後20年のコンサート(山田和樹指揮)に衝撃を受け、日本に欧米の最先端の現代音楽を紹介してきた柴田さんが、やがて日本全国を旅し、わらべ唄や民謡の収集を続けながら新たな音楽のあり方を切りひらいていったこと知ります。自分自身が越後妻有で多様な人たちにひらかれた参加のあり方を試行錯誤する中で直面していった課題に、40年以上も前に取り組んでいた人がいたことへの驚きと共感とともに、この「ゆく河の流れ」を小林武史さんに委ね、新しい形で2018年の今に甦らせたいと思った経緯を語りました。

前回、2015年の大地の芸術祭に初めて参加し、映画「スワロウテイル」に登場するYen Town Bandの復活コンサートを行い、2016年の瀬戸内国際芸術祭においては架空都市「円都空間」を犬島の廃墟で再現してみせた小林さん。北川との協働は今回で三度目となります。昨年は東北の被災地でリボーン・アートフェスティバルを自ら立ち上げ、芸術祭とも深く関わる小林さんですが、今回の北川のオファーに最初はとまどったと言います。

未知の柴田南雄という人とその音楽との出会い。昭和の半世紀の変遷と自らの音楽的変遷を重ね合わせ、「方丈記」を歌詞とした合唱とオーケストラによる柴田さんの「シアターピース」を、小林さんは残されたCDやDVDを聴き込み、楽譜を研究しながら、新たに8楽章を書き下ろしていきます。

日頃の活動とはまったく違う今回の取り組みについて、小林さんは「柴田さんが長明からつないだものを、自分が巫女のような存在となって、今につなぎ、大地の芸術祭がやろうとしてきたことを、新しい形でつないでいきたい」と意欲を語りました。

「円奏の彼方」は、小編成のオーケストラと女性シンガーをベースに、「民の声」として、十日町市の有志によるコーラス隊も参加、さらに、デジタル技術も積極的に取り入れた21世紀の表現を追求しています。

「鴨長明とこんな形で出会えたことが嬉しい」という小林さんの言葉を受けて、北川からは、「言葉では<無常>をうたいながらも、長明から煩悩は消えていない。建築の図面を書き続け、最後までしたたかに、タフに生きた。それは太宰や安吾に通ずるものがある。今は厳しい時代であり、どんどん志は低くなっているが、安易にならずに生きていかなければならない」と今回、「方丈記」をとりあげた意図があらためて語られました。

時代をつなぎ、ジャンルをつなぐ、「円奏の彼方」。7月28日、29日の二日間だけのスペクタクルに期待が高まります。

大地の芸術祭2018オープニングコンサート、”小林武史:交響組曲『 円奏の彼方(Beyond The Circle) 』~based on 柴田南雄「ゆく河の流れは絶えずして」~”。 6月9日(土)10:00より、各種プレイガイドにてチケットの一般販売をスタートします。さらに現在渋谷ヒカリエで開催中の「大地の芸術祭2018 開幕直前展」ではチケット実券を先行販売しています! 2018のオープニングを飾るにふさわしい豪華なコンサート、ぜひお申込みください。

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