EAT & ART TARO×村上秀貴×米澤文雄×北川フラム 対談レポートを公開

2018芸術祭投稿日:2018年6月10日

トークショー第3回は、「食」をテーマに、「Jean-Georges Tokyo」総料理長の米澤文雄さん、「キッチンわたりがらす」オーナーシェフの村上秀貴さん、食のアーティスト、EAT&ART TAROさんが登場。北川フラムの紹介のもと、今回の大地の芸術祭での取り組みについてお話し下さいました。

最初に、北川から、芸術祭において「食」がいかに重要かが語られました。芸術祭に来た人たちのアンケートで顕著なのが、地元に触れることができてよかった、というもの。食は訪れる人と地域をつなぐ上で最も有効な芸術祭の要素であり、大地の芸術祭だけでなく、瀬戸内交際芸術祭、昨年スタートした長野県大町市での北アルプス国際芸術祭、本州最小の市・石川県珠洲市の「奥能登国際芸術祭」でも多様な取り組みが行われています。 その成果のあらわれとも言えるのが、昨年の文化芸術基本法の改正。国の文化政策の基本となる法律に、「芸術祭」と「食」が新たな文化施策として追加されたのです。これは、明治以来、西欧の文化の輸入と吸収をベースにしてきた日本の文化施策において革命的なことだと北川は言います。 「今回の芸術祭では、もっと徹底的に食を充実させる」として、この3人の料理人+アーティストにお声をかけたのでした。

今回、オフィシャルツアー(かもしかピョンピョンコース)限定のコースランチをプロデュースする米澤さんが、最初に越後妻有を訪れたのは、2015年、前回の芸術祭直後の秋のプログラム。地元の食材を使いながら、普段食べているものとは違うものをつくり、東京、地元あわせて60名の客様にふるまいました。その後も、2016年春に黎の家で、秋には三省ハウスでグランピングでの食をプロデュースしています。 東京生まれ、東京育ちで「田舎」を持たない米澤さんにとって、越後妻有は食の原点を教えてくれる場所。集落の女性たちと一緒につくる楽しさ、昼ごはんに持ってきてくれるいろいろなおかず。その土地でつくられているものが一番のごちそうであることを、学び、さまざまなことを考えたと言います。

今回は、春に収穫した30数キロのふきのとうを仕込み、夏にソースとして出すとのこと。「妻有の人たちにとって、山菜は春収穫して、一年中食べるものなんです」。 また、地元の人たちが夏によく食べる冷汁にハーブなどを加え、新たな味覚を提供します。 奴奈川キャンパスのTSUMARI KITCHENでツアー客に出す全8000食の準備に余念がありません。

「キッチンわたりがらす」の村上さんは、前回の芸術祭でうぶすなの家のレストランのメニューを監修。以来、うぶすなの家に関わり続けています。 美しい山里。やきもので設えられた建物。そして何よりも元気なおばちゃんたち。おしゃべりも楽しい、個性ある女性たちがつくりやすく、出しやすい定食メニューを、供し方と共に考えてきたと言います。 芸術祭会期中は50日間で1500万円売り上げる人気の「うぶすなの家レストラン」。会期外にも営業しており、春には茶会で点心コースを提供したことも。「うさぎを捌くのが大変でした。一週間がかりで、ちょっとやりすぎたかも」と村上さん。 今回は、サーモンと八海山の水を使った料理がメイン。焼物名人による高価な器に盛った料理で、たくさんのお客様をもてなします。「食事難民を救済したい」と営業時間も10時~17時に延ばし、サイドメニューも考えているそうです。

EAT&ART TAROさんは、調理師学校を出てからアーティストになったユニークな経歴の持ち主。北川との出会いは、2012年の千葉県市原市での「いちはらアート漫遊」に参加した時のこと。小湊鉄道の無人駅に降りてもらい、次の電車を待つまでの90分間にハイボールを飲ませ、七輪で焼いたイカなどを食べて楽しむというプロジェクトを行いました。そして2013年には瀬戸内国際芸術祭で「島スープ」を大ヒットさせます。以来、北川の芸術祭の常連作家として、前回の大地の芸術祭では4000本のきゅうりを使った「ザ・きゅうりショー」と集落の女性たちが役者となって料理を供する「上郷クローブ座レストラン」、2016年の瀬戸内国際芸術祭では指輪ホテルとのコラボレーションによる「讃岐の晩餐会」、昨年の奥能登国際芸術祭では自治体主催という画期的な「さいはてのキャバレー準備中」をプロデュースしました。どう楽しく食べるか、その仕組みをつくるのがTAROさんのテーマだと言います。 今回は、米どころ越後妻有のお米を食べ比べる「ザ おこめショー」をキナーレで、そして前回同様、上郷クローブ座レストランで「北越雪譜」を題材としたコースメニューを提供します。

三者三様の食の展開。その他にも、越後妻有には、食とアートのコラボレーションによるさまざまなレストランやカフェがあります。 「食については、もっともっと可能性を追求していきたい」と北川。アートとともに、豊かな食を味わいに、ぜひ大地の芸術祭にいらしてください。

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