先日、こへびが作業で使っていた体育館の掃除に参加した。
場所は、旧川西町の高倉集落。
以前にも何度かこのblogで記事になった、茅の作業を行っていたところである。
山で採ってきた茅を、茅葺き屋根の材料とするために加工し、ストックしてあるので、
中はまるで家畜小屋のような状態になっていた。
束ねた茅を搬出し、その茅を立てかけておくために使われていたであろう木材を搬出してから、
茅の屑を外へ掃き出していく。
茎の部分は扱いやすいが、穂先がバラバラに分かれて館内至る所に降り積もっていて、
これを集めるのが意外にめんどう。
ほうきを雑に動かすと、ふわりと舞い上がって、あたりに散らばってしまう。
そんな作業を、5~6人でしばらく続けた。
昼休み、外の木陰で食事をとろうとしていると、1匹のイヌがやってきた。
集落のどこかの家で飼われているらしく、首輪は付けているが、リードが付いていない。
正直にいうと、私はイヌは好きではない。
というより、嫌いである。
従って、この地球上いかなる場所においてもイヌの放し飼いなど言語道断であり、
本来なら許し難い行為である。
しかしイヌにとってはこちらが侵入者なのだろう。
いつものようにひとりブラブラ近所の散歩をしていたら、見慣れない変な連中がいる。
いや、ときどき見るな、ああいうわけのわからない連中。
とはいっても、不審者を威嚇するようなそぶりはまるでなく、
妙に人なつっこく、われわれにすり寄ってくるのである。
決して吠えたりしない。かといって餌をせびるような仕草もない。
まあ憎めないと言えば憎めないのだが、
それでもやっぱり私はイヌという動物が好きになれないので、
そいつが絶対に来られないところに場所を移して、ゆっくり食事をとった。
食事が終わって戻ってみると、イヌは坂をトコトコと下りて帰っていった。
午後の作業を始める。
体育館の入口を入ってすぐの階段を上ると小部屋があり、そこの床を水拭きしていた。
階段を降りたら、そこにはあのイヌがいた。
小部屋にイヌと二人きりになると、もう掃除どころではなくなる。
申し訳ないが、階段へつながる扉を内側から固く閉ざして、作業に専念した。
来なくていいのに、何でこっちに来るんだろう。
やはり不審者の臭いがするのだろうか。
あるいは、やつは、この体育館を、自分の家だと考えているのかもしれない。
道理で、そのうち入口のところで偉そうに昼寝をはじめた。かなり邪魔である。
しばらくするといつのまにか姿が見えなくなった。
幸いにして実害がなかったので、
やがてイヌのことなどすっかり忘れて、メインフロアの雑巾がけを行う。
ところどころ開けた窓(壊れて開かない窓が少なくない)や扉を、涼しい風が通り抜けていく。
ワックスがけをもって掃除がすべて終わり、集落の元区長さんの家へ皆であいさつに行った。
玄関にはあのイヌがいた。
text by T.S.(from 大地の芸術祭のまわり方)