まつだい案山子隊の方が制作レポートを寄せてくれました。
「可愛い魔女」
昨日まで農舞台の手伝いに行っていた。芸術祭の冬版である。雪で作った大きな(70㎝位)城郭の様なものや、200羽の雁の風見鶏や、変な丸っこい船の様なソリがあったりで、鑑賞者も多く、急きょ第二駐車場を用意した程である。
様々な国の人や(香港・タイ・コスタリカ・それから白人)様々な性格の人達と会話したりで、誠に楽しく、有意義なものであった。
そして東京方面から、あまり可愛くない男子学生と可愛い女性たちがいっぱい来た。"こへび隊"である。これも我々と同様、祭りの手伝いをするのであるが、殆どが大学生の様だった。一橋の大学院生がいたり、博士号を取得した女性もおられて多士済々。それと知らないで、いつもの調子で横柄な口をきいてしまったものである。俺も"ガクシャ"には違いないのだが漢字で書けば『顎者(がくしゃ)』なのである。唯顎(あご)が強いだけだ。定年前の仕事は全戦全敗で全くダラシなく、カーリングのロシア国程度なのだ。しかし、口ではまず負けた事は無かった。だが今回は負けた。しかも頭が真っ白になった。松代に降る雪の様に。負けた内実を次に記そう。
作品の内に雪を解かして風呂にする!!雪風呂!!というものがあった。こへび隊の女子大生が真先に入ったという話を聞いた。ヨシッ、これをネタにからかってやろうと秘かに思案をめぐらせた。来た 来たその女子大生が来た。「オイ、俺と一緒に風呂に入ろう。そしたら背中を流してやる」と高飛車に出た。そうしたら顔を赤らめて、何か断りの一言を残して逃げるだろうと踏んだのだ。この考えが甘かった。『ウンおじさん、すぐ風呂に入ろう 今すぐ』とのたまわくのである。俺は面喰った。この言は全くの想定外なので次の言葉が出なかった。仕様がないから「今は仕事中だから」と弱々しい声で言った。『そんなもん放り出して今すぐ入ろう』と言うのである。こう出られては"ハタッ"と困ってしまった、万事休すである。思わず顔が引きつったのがわかった。「ない知恵をふりしぼり、話せば分る。分かることだ。そんな可愛く脅さないでくれ。話合えば分かることではないか」と。実は俺は肉体が貧弱で、力コブなどないし、頭も相当弱いし、おまけに水虫なのである。そんなことがバレたら一大事。
しかし、今になって後悔している。憾らくは一緒に風呂に入り背中を流してやり、その前を綺麗に洗ってやればよかったと。クヤシィ―イ。こういう人はヘラズ口をたたくが、内実は純な心を持っているものである。そういう人を騙しでもしたら、天罰が下ること必定である。天罰もオソロシいし、風呂も一緒に入りたかったし、俺は心が定まらないのである。可愛い魔女は恐ろしい。後で分かったことだが、この人の姓は土井さん。実業界で活躍している別称プーコさんとのことだ。
平成22年2月22日(月)
どっちつかずのソクラテス(松代住民、まつだい案山子隊)
古郡 弘「天円地方」

磯崎道佳「冬の動物園:歩いて描く動物たち」















