中国ハウスプロジェクト2020夏 「風の記憶」

開催概要

2020夏の奴奈川キャンパスでは、2階の教室に展開する中国ハウスプロジェクトの展示がリニューアルします。


展覧会開催によせて

コロナウィルスの影響が世界各地に広がっている中、「大地の芸術祭」の里 越後妻有2020夏・中国ハウスアートプロジェクトの開催はとても特別なことであり、価値のある展覧会にしたいと思います。

今回参加するアーティストは、妻有での視察および制作を行うことができませんが、中国ハウスは芸術祭の一貫した「人間は自然に内包される」という理念に基づき、活躍している中国の若手アーティスト5組を選定しました。出身地や経歴が違う彼らは、生活に関する思考に基づいた作品制作を行っています。また、OPEN WINDOWこどもアートプロジェクト作品展も披露します。「風の記憶」というテーマを通して、時空の枠を超えて、アートで日本と中国の両国をつなぎたいと思います。

企画=瀚和文化 HUBART


作品紹介

Homer & Dreamer「看見了它(日本語訳:見えた)」

Homer & Dreamer は北京で活躍しているデザイナー夫婦です。奈良に旅行した際に、日本の伝統的な「のれん」が気に入り、夏の風を軽やかな質感で表現する制作を行います。

作家メッセージ
私たち二人は毎年、年に一度日本に短期間滞在していました。広くない部屋で、窓を開けたままぼーっとするのがとても幸せでした。今年はコロナウィルスの影響で行けなくなり、今回の作品を考えました。
この作品は、入り口から窓辺まで配置される五重の「蚊帳」から構成されています。「蚊帳」は昔の中国や日本でよく見られる夏の風物詩でしたが、今は段々使われなくなってきています。蚊帳の要素を使って、吊り上げられた五重の蚊帳にイラストを吹き付けました。重なっている薄い蚊帳の背後には、実際の風景が透けて見えます。風が吹くたび、蚊帳はその形を変えます。人も、蚊帳に描かれた猫も、これで風が「見える」ようになるでしょう。

Photo by NAKAMURA Osamu


mafmadmaf「余下旅程的第一天(日本語訳:残された旅の初日)」

優秀なサウンドアーティストmafmadmafの作品が広州から届きます。彼は2018年に妻有に行ったとき、アート作品を鑑賞すると同時に現地で短編のサウンド付き記録映像を制作しました。妻有の土地や風貌は音楽を通して作品に溶け込んでいます。

作家メッセージ
私は2018年に、二回越後妻有地域に行ったことがあります。一回目は真夏で、フジロックに参加した直後に大地の芸術祭を回って約一週間民宿に泊まりました。二度目は晩秋で、東京で開催される TFoM 東京モジュラーフェスティバルに出演するため、シンセサイザーを持って広州から来ました。炎天下のなか、田んぼの端を歩き、蝉の鳴き声と足音のほか、田んぼの周囲にある電柱からトランス音も聞こえてきました。その時に体感した、この上なく完璧な環境をシンセサイザーの演奏で再現したいと思っています。本来は静かなサウンドスケープに、緩やかに「雑音」を加え、そして徐々に私を前に押し出すようなリズムが流れるー新潟の田んぼで彷徨ったあの瞬間は、永遠の心の安らぎを得られたのです。


王一山(Ethan Wang)「冷記憶(日本語訳:記憶の冷凍)」

王一山は四川省成都市出身の若手コンセプチュアル写真家で、作品「記憶の冷凍」では、作家は自らの数年前の経験を「冷凍」し、その頃の「貴重な過去」を写真に保存して残します。

作家メッセージ
今回の作品は、私自身の経験とフィクションの物語から構成されます。自分の成長過程に密接な物を「冷凍」し、自分の記憶を保存させました。例えば、昔の恋人の証明写真《認識されない記憶》や、お爺さんの時計《消されない記憶》、まだ現像していないフィルム《未露出の記憶》など。一方で、写真を撮ることも時間を「凝固」にすることです。低温で「凝固」にした記憶、さらに写真として記録し、記憶を二重「凝固」にします。そして、類型学に基づいて並べ、記憶のアーカイブとして展示します。

Photo by NAKAMURA Osamu


陳簡(Chen Jian)「三喜的夏天(日本語訳:三喜の夏)」

アーティスト陳簡はアモイ出身です。主人公であるネコの「三喜」(サンシー)を通して、中国の東南沿海の門戸としてのアモイの生き生きとした様子と、東南アジアとの間の交流から生まれた昔ながらの地域の特徴を再現しています。

作家メッセージ
主人公の三喜は、アモイの東安村で、朝夕屋根と荒れた庭を歩く1匹の猫と暮らしています。様々な形をした東安村の建物群は、中国、フィリピン、インドなどの文化から影響を受けていて、そこでは100年前の集落の暮らしを発見することができます。《三喜の24節分》という作品シリーズでは絵画や版画を通して、それぞれの建築と文化を表現しています。節分シリーズの一部の「三喜の夏」では、大暑の日に三喜は、松に寄りかかりながら一匹の猿が池の対岸で琴を弾くのを聞きます。唐代の文人、呉筠(ご・いん)は、散文《玄猿赋》の中で、猿を「寿同霊鶴、性合君子(鶴と同じく長い寿命で、君子のような性格を持つ)」と例え、猿は人間に見劣らず、俗世から離れて生活が純粋で自然であると讃えています。

Photo by NAKAMURA Osamu


夢廠DREAMER FTY「気象シリーズ『虹』、『霧』、『風』」

夢廠DREAMER FTYは杭州にあるアートブックの出版社です。「気象シリーズ」は、2015年に夢廠 DREAMER FTYが企画した、様々な気象現象の名前をテーマにしたアートブックプロジェクトです。2015年に『虹』、2018年に『霧』が出版されました。今回の展示では、上記の2冊のほか、コロナウィルスの影響で出版が遅れた『風』の編集完了部分も一緒にご紹介します。

Photo by NAKAMURA Osamu


OPEN WINDOWこどもアートプロジェクト

多様なアートを通じて、子供たちの想像力と創造力を啓発する国際的な交流プラットフォーム。第1回の作品展が奴奈川小学校で行われます。地元の子供たちは教室に溢れる世界の子供たちのアイデアと出会い、インスピレーションを分かち合います。作品を通して、子供たちの素直さとありのままを感じていただければ幸いです。

Photo by NAKAMURA Osamu


作家紹介

Homer & Dreamer

homer dreamer

共に2013年に中央美術学院を卒業。その後、家族になり、アトリエを設立。クライアントワークを行いながら、日常生活を題材として作品制作を行う。

徐鴻淼 (Xu Hongmiao)
中央美術学院デザイン学部を卒業。UIデザイナー、イラストレーター。2014-2018 年TAGDesignにてデザイナーとして務める。多数のアプリケーションを開発しAppleAppStoreに推薦されたことがある。2018年から個人のゲームプロジェクトをつくっている。

譚 夢(Tan Meng)
中央美術学院設計学院を卒業。ブランドデザイナー、アルバムジャケットデザイナー、イラストレーターとして活躍。北京Modern SkyやPM Designでビジュアルデザイナー、アルバムジャケットデザイナーを務める。

mafmadmaf

mafmadmaf
中国広州市で活躍するシンセサイザー奏者、アートディレクター、ミニマリスト。彼は環境音楽をベースとしたシンセサイザー音楽の制作に長け、その音色は時に繊細で、時にとても力強い。ノイズ、実験やサウンドスケープなどに強い関心を持ち、プログラミングを活かしながら、音と光で時空を表現する。彼は様々な場面や状況下で生演奏を行う。

王一山(Ethan Wang)

王
1988年中国四川省生まれ。本名:王天行。2015年California College of the Arts (CCA)大学院ビジュアルアーツ学科を卒業。彼の作品は主にグローバル化とローカル化の間にある衝突と関係性、集団的無意識と個人的記憶に関する叙述と経験をテーマに、写真、映像、ミックスメディア・インスタレーションなどの手法で表現する。

バークレーアートミュージアム、サンフランシスコRoot Divisionギャラリー、Art Spaceオンラインギャラリーでグループ展に参加。2015年アメリカの雑誌『Surface』主催のコンテストで「Avant Guardian」賞を受賞。 2016年「Lens Culture」撮影賞にノミネート。現在、成都市を拠点に活動。

陳簡(Chen Jian)

chen
1976年生まれ。福建師範大学を卒業。

個展
2019年8月「三喜采薬図」NITE SPACE空間(上海)
2019年6月「雲図」脸界芸術空間(アモイ)
2017年9月「未来変奏曲」発.生記(上海)
2015年2月「万物静默」紙の時代書店(アモイ)
2014年11月「万物静默」旧雨今来軒画廊(アモイ)

夢廠 DREAMER FTY

dream fty
2007年に創立。本を媒体とし、自費出版でアートを表現している。また、クリエーター間のコラボレーションの機会を作っている。現在、夢廠はNPO組織「art book in China」の出版プロジェクトとして活動。

開催概要

日時 2020年8月8日(土)~16日(日)
場所

奴奈川キャンパス(十日町市室野576)

料金 一般500円、小中250円 2020夏共通パスポートで入館可

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