【大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2021特別先行展】イリヤ&エミリア・カバコフ「16本のロープ」

開催概要

大地の芸術祭の代表作「棚田」(2000年)の制作から、「人生のアーチ」(2015年)を経て、20年以上にわたり越後妻有の活動を支持してきたイリヤ&エミリア・カバコフが、自身の夢を地域に託し2021年の夏「カバコフの夢」として結実します。

農舞台館内では、10人の夢想家を主人公にした幻想的な紙芝居風の作品「10のアルバム」を配置した迷宮、世界や自分を変えたいと願う人々の夢を天使や雲のオブジェと共に描きだす「プロジェクト宮殿」などが、そして松代の山中には共生の象徴であり、地域と世界を結ぶ「手をたずさえる塔」の設置が計画されています。

世界でも類を見ないカバコフ作品群の誕生に先立ち、本展ではインスタレーション「16本のロープ」(※トリエンナーレ2021年会期中はキナーレに移設展示予定)を特別演出で公開します。一足早くカバコフの夢を覗いてみましょう。

※トップPhoto  : 作品コンセプトのドローイング 1995年


インスタレーション《16本のロープ》

1984年以降カバコフが繰り返し取り組んでいる代表作の一つです。

頭上に張り巡らされた16本のロープに紙切れや木片など208個のメモが付けられた”ゴミ”がぶら下がります。メモには自然、子供、健康、家事、愛などをめぐるさまざまな会話が書かれています。

モスクワのアトリエでの展示 1984年 (Photo : Jurii Geltov)

「ライラックがきれいに咲いているわ! 家に持って帰らなくちゃ」
「今夜出かけるところはあるかな? なにもかも退屈で、なにをしたらいいか分からない」
「この天気はどうなっているんだろう。フード付きのコートを着てね」
「今日は早く家に帰ってきてね。ドアを塗るのを手伝って」
「もしスープを飲むなら温めるわ…… 手を洗っていらっしゃい」
「どうして泥んこになったの? 誰が洗うの?」
「僕たち、とてもいい時間を過ごしたね。なぜ君は夜、来なかったの?」
「いつ家に来るの? マーシャはすっかり大きくなったわ」
「私のこと愛している? それならパンを買ってきて……」
「あなたももうすぐ去っていくのね。ほら、みんな行ってしまった」

これらの言葉は「個人のものであると同時に皆の言葉である」と作家は述べています。カバコフはソ連時代に、自分が属している社会とそこで暮らす人々の人生を記憶するために、人々の声を記録しはじめたといいます。本作は、日常の営み、感情、あらゆる人々の生を記憶したいという作家の思いを反映しています。

モスクワのアトリエでの展示のクロージング 1984年 (Photo : Ilya Kabakov)

モスクワのアトリエでの展示 1984年 (Photo : Ilya Kabakov)

本展ではこの作品を暗室に設置し、懐中電灯で照らしながら鑑賞します。それはどこか冒険、探検のようなわくわくする時間であるとともに、無数の人々の生を追体験することで、未知なはずなのに懐かしい感覚を味わえることでしょう。

本作のコンセプトは、地域の生活や文化の記憶の場である郷土資料館の空間とも呼応しています。

イリヤ・カバコフ スケッチ 年代不明

イリヤ&エミリア・カバコフ

イリヤは1933年、旧ソ連(現ウクライナ)生まれ。1950-80年代は公式には絵本の挿絵画家として活躍する一方で、非公式の芸術活動を続けた。80年代半ばに海外に拠点を移し、ソ連的空間を再現した「トータル・インスタレーション」をヴェネツィア・ビエンナーレ、ドクメンタ等に出展。1988年に、エミリア(1945年生)とのコラボレーションを始める。日本でも「シャルル・ローゼンタールの人生と創造」展(1999年)、「私たちの場所はどこ?」(2004年)、「イリヤ・カバコフ『世界図鑑』絵本と原画」展(2007年)等の個展を開催し、妻有では《棚田》(2000年)、《人生のアーチ》(2015年)を恒久設置した。2008年、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。ニューヨーク在住。

※Photo : Yuri Rost

開催概要

日時 ~2021年6月20日(日)
※5月4日(火)~15日(土)臨時休館
場所

まつだい郷土資料館

料金 一般800円、小中400円(入館料+特別鑑賞料)
※3月13日、14日は冬の共通パスポート対象
備考

※5月4日(火)~15日(土)臨時休館いたします。
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