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私が草刈りイベントから得たこと

14 September 2020

全国からオーナー(里親)を募り、まつだいエリアの棚田を守るプロジェクト「まつだい棚田バンク」。里親の皆さまが現地の棚田を訪れる機会として、年3回の農作業イベントを開催しています。今年は残念ながら田植えイベントが開催できませんでしたが、8月1日に草刈りイベントを開催することができました。

私は今年の春に、サッカーをプレーしながらまつだい棚田バンクの一員として農作業を行うFC越後妻有に所属し、移住してきました。そのため、この草刈りイベントに関わるのは初めての体験でしたが、里親の皆さまと一緒になって作業し、交流できる貴重な時間を過ごすことができました。また、師父の方との交流もとても刺激的でした。「師父」とは地元の農家の方々で、私たちに20年以上、農業の指導を行ってくださっています。今回の草刈りイベントで、私が特に印象的だった師父との交流についてをつづります。

師父の佐藤達夫さん

草刈りイベント当日は悪天候で、午前中は雨、午後はその雨が上がり猛暑となり、外にいるだけでも堪える天候でした。そんな中、師父の方は朝早くから集まり、鎌の使い方から様々な農作業の話をしてくださり、一緒に汗だくになりながら草刈りをしてくださいました。私はその姿を見て、どんな想いでこのイベントに来てくださっているか気になりました。

そこで、師父の佐藤達夫さんにお話しを伺いました。達夫さんは、作業の指導をするというよりは、「百姓」として里親の皆さまと関わり、農業体験の楽しさと辛さをどちらも味わってもらいたいと話します。ただ作業をして、「楽しかった」で終わるのではなく、過酷で泥だらけになる、そんな農業だからこそ感じる事を感じて帰って欲しい。心を込めて、お米がちゃんと育つような作業をしてもらいたい。そういった楽しいだけではなく、大変な農作業を通じてお米ができることの凄さ、大切さを知ってもらいたいという百姓の精神がありました。

イリヤ&エミリア・カバコフの「棚田」/草刈直後の様子

また、達夫さんにはこうした棚田バンクでのイベントを通じて、見ても美しい、写真を撮っても美しい、お米も美味しく育つこの土地の美しい棚田を守りたいという願いがあるが、一方で人手が足りていないという問題が現状にある中で、棚田バンクと地域が協力してこの土地の可能性を広げることができるイベントができるのは嬉しいし楽しい、と話をしてくださいました。都会と比べて地域としてのハンデを感じさせないような、自然を生かした里山の暮らしの価値を、もっと広めたい。その橋渡しに棚田バンクがなってほしいし、その手助けはいくらでも行っていきたいと達夫さんは話してくださいました。

(左)佐藤達夫さん(右)森希紗

こういった話を聞いて、私たち棚田バンクには棚田バンクにできることを、地域の方には地域の方にできることを、共に行い協力してより良いプロジェクトにしていきたいと強く思うようになりました。その手段は様々で、こうしたイベントを初め、アート、農業、女子サッカー、いろんな視野からこの街、地域と協働し一緒になって街づくりをしていきたいと感じました。9月には稲刈りイベントが開催されます。今回の草刈りイベントを経験し、また違った思いで私はこの稲刈りイベントに向けて準備をしています。里親の皆さま、師父の方々と一緒に作業ができるのを楽しみにしています!

NPO法人越後妻有里山協働機構/FC越後妻有
森希紗

星峠の棚田

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