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大地の芸術祭公式WEBマガジン

運営 / 越後妻有の舞台裏から

大地の芸術祭の魅力を伝えるオフィシャルツアーをつくるまで

01 October 2025

大地の芸術祭では通年でオフィシャルツアーを運行しています。
「アートを道しるべに里山を巡る」ことがコンセプトの一つの大地の芸術祭。車を持っていない人や、土地勘のない人、海外からのお客様にとっては、様々な作品を巡るのは大変です。どんな人にも大地の芸術祭を目いっぱい楽しんでもらいたい、ツアーをとおして越後妻有のファンになってくれたら……そういった思いでオフィシャルツアーを作っています。

企画展やプログラムの開催、季節によって表情を変える里山の風景や、旬の食材を使用したおいしいごはん。大地の芸術祭はトリエンナーレ期間以外にも見どころがいっぱいです。ツアー参加者が十分に鑑賞する時間は取れているか。バスのルートに無駄はないか。開館時間内に見学できるか。様々な要素を考慮しながら旅行行程を作成します。

行程ができたらバス会社や作品施設への連絡。ツアー参加者だけではなく、作品施設のスタッフや乗務員にとってもスムーズなツアーになるよう、地域の会社と連携しています。初回のツアーが運行するときは大きなトラブルなく終了できるか、バスが終了地点に戻ってくるまでいつもドキドキしています。

ツアーバス Photo by Kanemoto Rintaro

大地の芸術祭オフィシャルツアーの魅力の一つは、オフィシャルガイドによるご案内。オフィシャルガイドの大半を占めるのがこへび隊です。様々なバッググラウンドを持つこへび隊の皆さんなので、話される内容も様々。個性豊かなガイドの話が、オフィシャルツアーの個性にもなっています。

とはいえ、作品の解説や大地の芸術祭のあゆみなど、芸術祭の基本的な知識は知っておかなければなりません。月に一度、オフィシャルガイドの研修会を開催し、みんなで勉強します。主なテーマは作品や地域についてのレクチャーや、ガイドに役立つ知識の共有、オフィシャルツアーの振り返りと意見交換。皆さんとても熱心で研修の終了予定時刻を過ぎることも。

ガイド研修の様子

もちろん、自分がオフィシャルガイドとしてツアー参加者を案内することもあります。最初のころは緊張と知識不足で何も話せず、お客様から厳しい意見をいただきました。いまでもツアーが終わるたびに、自身のガイドについて反省しています。先述したガイドの勉強会でも、地域や作品、案内方法について自分自身が学ぶことが多いです。

ご案内の様子 Photo by Kanemoto Rintaro

「ありがとうございます」「楽しかったです」と声をかけていただいたときはとても嬉しく、やりがいを感じます。最近は海外から参加のお客様が増えてきました。日本語が海外の方にもツアーを楽しんでいただくにはどうしたらいいか、が最近の課題です。

オフィシャルツアーに参加した方々が大地の芸術祭や越後妻有地域の魅力に気づいていただけるよう、よりよいツアー行程や案内方法を考えながら、これからもオフィシャルツアーを続けていきます。

冬のオフィシャルツアーも運行

NPO法人越後妻有里山協働機構スタッフ
鈴木真凡

つながる

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