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大地の芸術祭公式WEBマガジン

特集 / 作家インタビュー映像

越後妻有のサイトスペシフィックな作家たち Part2

interviewed by 北川フラム

2022年4月から開催される「大地の芸術祭」に向けて、先行公開中の新作に加え、新たな作品の制作がスタート。それにあわせて作家と北川フラムの対談を記録した映像シリーズを公開中。Part1では名和晃平、目、ニコラ・ダロ、中谷ミチコ、河口龍夫、田島征三など、先行公開作家を中心にインタビューを実施。Part2ではこれから新作を完成させていく作家を中心にお話を伺っていく。

撮影・編集:山岡信貴(映画監督)

05 February 2022

Vol.11 深澤孝史

深澤孝史の新作「スノータワー」

十日町市のニュータウンである七和地区は、活気があり新しいことへの意欲も高く持ちつつ、伝統的な季節の行事も大切にしている。そんな七和地区を象徴するのが「七和防災倉庫」。地区で貯めたお金で購入した建物であり、さまざまなイベントも開催されるなど、地区の結束と自由度を底上げする。そして雪像づくりや除雪など、雪を媒介にさらにこのコミュニティの絆を強めているのではないかと感じ、この場所に、除雪道具「スノーダンプ」を使った作品を展開する。

プロフィール

深澤孝史

日本

1984年山梨県生まれ。場や歴史、そこに関わる人の特性に着目し、他者と共にある方法を模索するプロジェクトを全国各地で展開。大地の芸術祭には12年から継続して参加。22年では七和集落を舞台に作品を展開する。


Vol.12 ハウ・フア・ランジーゴン(豪華朗機工/LuxuryLogico)

ハウ・フア・ランジーゴン(豪華朗機工/LuxuryLogico)「飛べ!何があっても、大地の芸術祭とともに」

鳥が羽ばたく様子を描いた白黒の3Dアニメーションをアーティストが作成し、それを1コマずつ印刷する。この地域に住む小中学生に、印刷した紙に自由に色を塗ってもらうワークショップを実施する。合計4000枚の絵をスキャンし、アニメーションに再編集し上映を行う。

プロフィール

ハウ・フア・ランジーゴン(豪華朗機工/LuxuryLogico)

台湾

1980年代生まれの現代美術家4名、Chih-chien Chen, Kun-ying Lin, Keng-hau Chang, Geng-hwa Changが、雑種という概念に基づき設立した LuxuryLogicoは、「愉快で奇妙な土地(Delightful Weird-Land”)」 の構想を中心に据えた明るい作風で知られている。自然環境からインスピレーションを受け、現代社会の光景を満たす思考やアイディアに挑み、現代の技術と人文科学を統合し、彼らの考えを「音楽」「視覚」「インスタレーション」「テキスト」で表現する幻想的な作品を、演劇、映画、ダンス、建築、ポップミュージック、経済行動などの様々な形態や分野で発表。LuxuryLogicoは、止まることのない統合に突き動かされ誕生した。


Vol.13 岡淳

岡淳「農具は楽器だ!」(イメージ)

地元から譲り受けた農具を楽器に変えて、津南中等教育学校の体育館に展示。展示される楽器は、古い農具・民具の形を残しつつ、かつての使用方法を踏襲した音色を奏でる。

ジャズミュージシャンを生業とするアーティストが、農具の楽器とライブパフォーマンス。ゲストミュージシャンを伴う豪華なライブを行うほか、津南中等教育学校の生徒たちと一緒に演奏をするイベントも予定。

プロフィール

岡淳

日本

11歳でフルートを小澤美枝子氏に師事。16歳でテナーサックスを独学で始める。プロのミュージシャンとして活動する傍ら、2013年に音楽水車プロジェクトを立ち上げ、音楽を奏でる水車の制作に取り組んでいる。


Vol.14 86B210

86B210「震える空~Vibrating Sky」(イメージ)

テグスの空間インスタレー ション内でのパフォーマンス。 物理学の観点から、モーション(動き)とエモーション(感情) が世界にまで共鳴して行くことを提示する。弾かれる振動で音を奏でるテグスは、空間に浮かぶ大きなインスタレー ションの楽器となる。

プロフィール

86B210

日本

国内外で活躍する鈴木富美恵、井口桂子による前衛舞踏デュオ。劇場、クラブ、ストリート、ギャラリーと様々な場所で活動。今回は6/25(土)、26(日)に津南町にある「越後妻有『上郷クローブ座』にて公演を行う。

Photo : ©Taro Kotera


Vol.15 中﨑透

中﨑透「新しい座椅子で過ごす日々にむけてのいくつかの覚書」Photo Kioku Keizo

新座地区にある豪農の家全体を使ったインスタレーション作品。住まれていた方や関わりのあった方々にインタビューし、この家にまつわる物語を紡いでいく。鑑賞者は各ネオンを目印のように、そこそこに記載されたテキストとともに家全体を巡りながらこの家の物語を読み進めていく。

プロフィール

中﨑透

日本

1976年茨城生まれ。現在、茨城県水戸市を拠点に活動。看板をモチーフとした作品をはじめ、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、形式を特定せず制作を展開している。2006年末より「Nadegata Instant Party」を結成し、ユニットとしても活動。2007年末より「遊戯室(中﨑透+遠藤水城)」を設立し、運営に携わる。2011年よりプロジェクトFUKUSHIMA!に参加、主に美術部門のディレクションを担当。


Vol.16 布施知子

布施知子「うぶすなの白」Photo Kioku Keizo

「うぶすなの家」に宿る精霊のようなものに対する尊敬を、白い紙を折ることで表す。「風の茶室」「闇の茶室」には、一つが二つに分かれ、それがまた二つに分かれ、どんどん無限に分割していく「無限折り」を使った白い紙の作品を中心に展示。「風の茶室」には、螺旋状の雫のような折りの作品も吊るす。「光の茶室」には、色を使った折り紙の「入れ物(箱)」を並べ、人間の営みを表現する。

プロフィール

布施知子

日本

1951年新潟生まれ / 長野県大町在住。折り紙作家。パーツを組み合わせてつくる「ユニット折り」の第一人者。工業製品も手掛け、著書が多言語に翻訳されるなど、国内外で活躍している。

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